メディカルアロマとは医療現場で活用されているアロマセラピーで、セラピストには看護師から転職をする人も多いです。

そのメディカルアロマで使用するのは医薬品ではありません。植物の花、葉、果皮や根、あるいは種子などの部分から抽出した100%天然の精油(エッセンシャルオイル)です。濃縮されているので、ごくわずかしか採ることができない貴重なエッセンスです。たとえば、ラベンダーなら1㎏の花穂から、わずか6~8mlしか抽出できません(品種により違います)。それほど貴重なものなので、値段も効果です。香りだけでなく、植物の持つ薬効成分も濃縮されます。

植物から精油を抽出する方法は大きく分けて5種類です。1つめは水蒸気蒸留法。植物を蒸留窯に入れ、蒸気を当てます。芳香成分を含んだ水蒸気を冷却器に送って冷やすと水と精油に分離します。精油のほとんどは、水蒸気蒸留法で抽出されます。

2つめの圧搾法はおもに柑橘類に使われます。果皮にローラーで圧力をかけ、遠心法で水分を飛ばし、精油を抽出します。熱を加えずに圧縮するので、低温圧搾(コールドプレス)とも呼ばれます。

3番目は揮発性有機溶剤抽出法。精油エーテル、ヘキサンなどの有機溶剤に原料となる植物を入れて、香り成分を溶かし出す方法です。溶剤を揮発させると香り成分が残ります。

4つめの超臨界流体抽出法は、1970年代に誕生した抽出法です。二酸化炭素など液化ガスに熱と圧力を加え、超臨界状態にし、植物を入れた抽出機に通過させると、流体が植物の成分に浸透します。流体を取り出して圧力を戻すと、香り成分だけが残ります。

最後は伝統的な油脂吸着法。この手法は現在使われていません。精製したラード、ヘット(牛脂)、オリーブオイルなどに花びらを並べ香り成分を油に吸着させ抽出します。